Complete text -- "Departure"
21 May
Departure
浮島最後の日。
家族揃ってここでまた暮らすのは、こんどはいつになるだろう。
僕らはイギリスに移住する事にした。とはいえ、日本の仕事が中心である今、すぐに浮島のすべてを処分するわけではなく、子どもたちをイギリスの学校に移す事が、主な理由だ。
今回の移住の主な理由は、絵美理の学校の「いじめ」にある。
彼女がいじめを受けていたかどうか、というのは判断が難しい。
彼女の場合は、「仲間はずれ」だったから。
このことに気が付いたのは、昨年の春頃からだった。
学校に行きたがらない、行く時間になるとお腹が痛くなる。
本人は何もしゃべらない。
しゃべっていたのに、僕らが気が付かなかった。
数少ない女子12人のうち一人以外からは無視されていて(少なくとも本人はそう受け取っていた)、学校での居場所が無い。
そうなると、できるだけ学校行きたくないので、遅刻する、遅く行く。休む。
男子も女子も他に人がいる時は絵美理に話しかけない、聞かれても答えない。一対一の時だけ話すという。
成績もがた落ちだ。
勉強は好きで授業は受けたいけど、学校で他の子どもと一緒にいたくないのだ。
まあ、我慢してさっさと高校に入ってしまって、あとは好きにやればいい、と言い聞かせていたが、昨年、ケイトの母の死でイギリスの学校に数ヶ月間通わせた時の彼女の変化に胸を打たれた。
明るくて積極的で、まるで別人のようだ、いや、以前の絵美理のようだった。
もはや今の学校に行くのは百害あって一利無い、と判断した。
子どもの時間は待ってくれないし、友達もなしに(絵美理の唯一の友達は病気がちでよく学校を休んでいた)一日中他人と話をしない事もあった。
我々は以前、担任の先生にこのことを訴えて、事実確認をする事、もし我々の認識が(残念ながら)正しければ、担任教師がリードしなければ子どもたち自ら状況を変化させられない事、そして事態への対策を求めたのだが、人のよい先生は結果的に無策でイタズラに時間が過ぎただけで、状況は改善しなかった。
親がいる時といない時で態度が違う、とも絵美理に言われた。
物理的ないじめを受けているわけではない、単に本人の社会性に問題があって。人間関係がうまく築けずにいるだけだとも考えた事もあるが、絵美理は一歩学校の外に出ると、いろいろな大人と積極的に自分から話しかけるし、仙台や東京には友達もいる、自分の学校にいないだけだ。これはどう考えても学校がおかしいとしか思えない。
今年になってから校長が替わり、担任が替わって雰囲気は断然よくなったが、時すでに遅し、で、我々は一刻も早く、子どもたちをこの学校から移して、本来の精神の恢復をしなければいけないと思うようになった。
そして、昨年、エジンバラの学校をいくつか回り、校長たちと話をして、最適な公立学校を見つけ、そこに2人とも移す事にしたのだ。
浮島小学校は天国のような、想像できる限りのもっとも理想的な学校教育が実践されているものの、中学校があまりにひどい。いまのうちに潮音も移した方がいいだろうと言う事になった。あと半年でもう中学校だから。
今回、我々があちこちでこのことをはしていたら、浮島の子どもたちのかなりの数の子どもがいままでいじめに遭っている事を知った。なんということだ。親たちは何をしていたのだ。
一番の問題は我々の仕事のこと、いま日本(東京)での仕事で生活しているのに、海外に移住するのは自殺行為に等しい。しかし、いまこの機会に我々もヨーロッパのアート市場にチャレンジしてみようとケイトと話し合った。
なんとかなるさ。
09:00:00 |
kata |
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Comments
埼玉 山崎和男 wrote:
浮島ではお世話になりました。
今度はファミリーで伺いたかったのですが残念!
ワールドワイドな活躍に期待しています。
メール出したら戻って来てしまいました。
今度はファミリーで伺いたかったのですが残念!
ワールドワイドな活躍に期待しています。
メール出したら戻って来てしまいました。
07/14/07 18:54:34
岩手町 遠藤武也 wrote:
すぐ近くに住んでながら全然知りませんでした。大変な決断でしたね。私はいつでもこの岩手町にいますので何かありましたらご連絡ください。
07/17/07 21:15:29
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